ラブソング

そうだ ラブソングを作ろう

思いたったのは 随分前のこと

あなたと一緒に暮らそう

思いたったのも随分前のこと

幸せばかりじゃなかった日々の中

幸せばかりの日々だった気がする

「ありがとう」

そんなありきたりな言葉を

はじめて 今 使うよ

つまらないかな

同じ言葉を

同じ温度で使う君になら

伝わるかな

そうだ ラブソングを作ろう

思いたってはみたものの

言えることなんて何もないんだ

あなたが死ぬ

今日のことを

いつのわたしに教えたらいい

薄いマットレス

軋むパイプ椅子

刻々と迫る時間に何を言えばいい

「好きだよ」

そんな当たり前のことを

最後にするのは忍びないな

だけど

死んでも忘れて欲しくないことは

この言葉ですべてな気がする

何でもいいよ

何か 言わせて

今ならあなたは聞こえるはず

旅立つあなたが持っていきたい言葉を

何かわたしに

何か言わせて

ありがとう

 好きだよ

気をつけて

 元気でね

行かないで 寂しい

大丈夫だよ

コンビニばっか使わないよ

お風呂もなるべく入るよ

あっわたしの話になっちゃった

またね

また会おうね

ありがとう はもう言ったな

好きだよ