幕無し

幕無し /はるこたつぶとん倶楽部♧

はじまるということは おわるということ

はじまりのさいごには必ずおわりがあるの

出会うということは別れるということ

出会えたならば必ず別れがあるの

悲しくない

春も昨日も終わってきたのだから

祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり

沙羅双樹の花の色 盛者必衰の理をあらはす

生まれるということは 死ぬということ

生きているということは いつか死ぬということ

悲しくない

終わりがあるから今日もあなたに会いたい

奢れる人も久からず ただ春の夜の夢のごとし

猛き者も遂にはほろびぬ 偏に風の前の塵におなじ

おわるということは はじまるということ

新しいや、その続きがはじまるということ

寂しい

居なくなることよりも 置いていかれることが

あなたのいない明日を思うことが

打ち続くあはれを生きる

誰かの引かれてゆく幕に 拍手と花を

はじまるということは おわるということ

はじまりのさいごには必ずおわりがあるの